新時代エンターテイメント。時代に追走

一緒に書こうと思いましたが普段あまりレースの感想なんて書かないので別枠にしてみました。個人的な感想ですのでそれぞれ感じ方はあると思いますが。

思い起こせば2013年11月10日、取手記念水戸黄門賞の2日目10Rの2次予選。
脇本雄太選手は最終1センターくらいから仕掛けて捲って3角で出切って1着でゴールしたレースがありました。
近畿中部のライン3車でしたが後ろは途中の山を越えられず離れてしまいました。
その日は取手競輪場でレースを見てたんですが、スタンドからは「捲りに構えてんじゃねーぞ」とか「なんで先行しないんだよー」の野次と言うかお叱りと言うか。
まぁ道中内に包まれて早くから仕掛けられる展開ではなかったのですが。
これが良く聞く自力先行選手の「捲りで勝って叱られ、逃げて負けて褒められ」ってやつですよね。お客さんの声援と賞金がこれほどまでに見合わない競技も珍しい。
勝利者インタビューで脇本選手が「捲りで勝ってすみませんでした」って開口一番に言っていたのを急に思い出しました。
他にもたくさん悲惨な死に目のレースはあったんですが、勝ってむちゃくちゃ怒られてるレースだったことや、その時本場にいたのでよく覚えてるんです。

翌日の準決勝は脇本-兄-西川のラインでしたが脇本選手がインで被せられ打鐘でも行けずバックで兄に捨てられて人気の近畿ラインが飛びました。
オッズはお兄ちゃんの差し目のライン3車が3連単断然人気5.4倍、押切は20.3倍と随分差が開いてました。
これが今から5年半年前。

先行して後ろに貢献しないと怒られる時代。後ろを千切ってのカマシは先行じゃないって言われる時代。
まさに古き競輪という解釈が正しいのかどうか分かりませんが、脇本選手にとってはそんな時代だったと思います。

今回の脇本選手は圧倒的な強さでG1完全優勝。
展開や並びに左右されるものの、押さえて駆けたレースもないし、Bの付いた競走は打鐘からのカマシ。そんな中追走できたのは決勝の古性選手だけ。
初日と3日目準決勝で連携した村上義弘選手は2回とも追走できずでした。
でもお客さんは脇本選手の強さに拍手と称賛の声。見てるお客さんも新しい時代の脇本選手の強さを認めたってことでしょうね。
ここまでの強さを見せつけられたらそりゃ言葉を失いますよね。
表彰式でも大人気。強いものが勝つ。ただそれだけのこと。

いつの間にかお客さんは5年半の脇本選手のレースを評価して、脇本選手の強さを見て捲りだろうがなんだろうが勝利を称賛するようになってました。
なんとなくお客さんが時代に追走してるのか、そして何より脇本選手の強さに圧倒されてるのか。

自分自身、昭和の古臭い競輪は大好きです。根性論万歳。一昔前の平原選手、武田選手の行って来いの連携。最強近畿2段との対決。THE競輪。買いやすかったし好きでした。
そのうち2段駆けと言う言葉はイン切りみたいな死語になる日が来るのかもしれませんよね。
勝負という競輪の本来の姿が何なのか分かりませんが、レースは少しずつ変わってきて、新時代エンターテイメントになって行くんでしょうね。
こんなこと今更言ってる時点でちょっと遅いのかも知れないですが。
でもなんとなく今の時代の競輪に追走できてる気がしました。

まぁ要はバンクがあって選手が走ってて車券売ってればなんでも良いってことなんだと思いますが(笑)

強ければ強いほど見ていて嬉しくなる脇本選手。オリンピックに行って活躍する姿を見たいと思いました。

そんな独り言でした。

@A主